夜中に国道を走る一台の古ぼけたセダンのラジオからは
歌謡曲やAORが流れていた・・・
そんな父の運転する自動車の助手席に座る幼き日の私の目には、
流れる街灯の規則正しい灯りの合間々に時々見えた、店舗に改造されたバスが映る。
曇ったその窓の中の様子を覗き見る事はかなわなかったが、
その窓を覆い隠す水滴や、蛍光灯の安っぽい明りが何となく暖かで、
ぶら下がる赤ちょうちんやら、手書きの「おでん」「ラーメン」「酒」の文字。
父に「行ってみたし」と強請るも「ああいう店は大人になって一人で行くべし」
と言われ、それから大人になったはいい物の、
あんなバスを店舗に改造した店などすっかり姿を消してしまった、
そんなセンチメンタル昭和ノスタルジー・・・
って思って調べたらまだあった、徳島に。
そんなこんなで行ってみるべいと、行ってきますた
徳島県阿波市吉野町は「中華そば 朝日軒 太閤6号」

多分もう愛媛県には無いんだよなぁこんな店。
調べてみるに、もともとは屋台チェーンから始まったお店のようで、
成程千駄ヶ谷のホープ軒なんかも出発はそれで、
しばらくして店建てたってのが有りますから、
ここはそれがバスを使ってお店始めましたって事なのですな。
つまり、このお店では正調徳島屋台ラーメンが味わえると言う事ですな。

刮目して見よ、これが正調徳島屋台ラーメン(中華そば肉玉入)である。
聞くに徳島にはかつて大手ハム工場があったらしく、
そこから出る豚骨が安く手に入った事が今謳われる徳島ラーメンの起源と言う。
その味わいたるや豚骨と鶏ガラ?醤油の日常使いに嬉しい、
毎日食べて美味しい系ラーメン。
「いのたに」とかに近い味わいで、非常に私好みで美味しかったです。
愛媛からだとあっちよりこっちのほうが近くていいなぁ。
美味しかったので「大盛り頼めばよかった・・・」
なんて思いながらメニューを見てると
「クリームソーダ」なる文字が・・・

あまねく昭和スイーツにおいて、これ以上愛らしいビジュアルがあるか、いや、ない。
このアイスクリームと氷が接する所がたまんないんだよね・・・(伝われ)
と、そんなこんなで幼き日の夢をまた一つ叶え、
ラーメンとクリームソーダなんて取り合わせ、
昔の百貨店の上階のレストラン(食券)以来だよぅなんてハフハフ独り言しながら
好物であるところの「かつ天」買って帰ろうとルンルン気分で道の駅に寄ったらば、
以前置いていたのに今日は置いてなくってシノハラさん泣いちゃった・・・
その涙はハイウェイの風に乗り、吉野川に流れゆく小さな一粒の露と消え、阿波徳島のことも夢のまた夢
とまぁ、シノハラさん秋の行楽の一幕。
皆様も試してみないか徳島屋台ラーメンとクリームソーダを。