一冊目はこれ 「侍やめます」

剣術指南役として今井藩に仕えていた「鮎川井左衛門」ですが、
つまらない事で藩がお取り潰しになってしまい、
鮎川一家は新たな仕官先を求めて江戸へ居を移します。
貧しい生活の中で末の娘を亡くしてしまった事から、
井左衛門は口入屋に薦められ、当時流行っていた「そば屋」を始める事にしますが・・・
というお話。
井左衛門さん、ずっと武家の子として育てられ、努力して剣術指南役にまでなったのに、いきなりリストラされて(´・ω・) カワイソス
現代において皆さんの周りにも多いんじゃないですか?
こういう人。
ともあれ、井左衛門さんは家族を守るために「侍」をやめるのでした・・・
って、そんな井左衛門さんこそ立派な「侍」ですYO!
特に序盤のいかつい井左衛門さんから、終盤の物腰柔らかい井左衛門さんへと変貌を遂げさせて行く物語の一つ一つが、読む者の心までもほぐしてくれます。
さて、もう一冊はこれ 「シグルイ」

こちらの方はご存知の方、多いんじゃないでしょうか。
「ちゅぱ右衛門」「ぬふぅ兄弟」で有名な、そう、アレです(おぃ
岩本虎眼流道場門下「藤木源之助」と、当道場を乗っ取らんとし、それに失敗すると、今度は道場を壊滅させてしまうという、とんでもない同門の天才剣士「伊良子清玄」との対決を描いたものです。
さて、こちらの主人公「藤木源之助」ですが、切ないほどストイックに「侍」です。
彼曰く「侍はお家を守る、それに尽き申す。」
そんな彼のたった一つの居場所である道場を、
ぽっと出の清玄さんにぶっ潰されてしまった源之助さん(´・ω・) カワイソス
もっと怒っていいのよ、源之助さん。
源之助さんもかなりの才のある方ですが、やはりそれは日々の努力によるものが大きいです。それに引き換え清玄さんはあまり鍛錬に勤しむ描写がなされていません。(物語が進むと、ある理由から彼自身も修行に勤しまざるをえない描写が出て来ます)
この物語はまだ未完結ですが、もう既にハッピーエンドじゃ済まされない香りがプンプンしています、詳しくはどうぞ本編をご覧下さいませ。
ともあれ、この「シグルイ」は日々の治平に安んじて、日々を貪る事だけに陥ってしまいそうな自分の心に活を入れてくれる、そんな物語だと思っています。
さて、ご紹介いたしました「鮎川井左衛門」と「藤木源之助」の物語。一人は「家族を守る侍」もう一人は「お家を守る侍」一字違いで大違いですが、どちらも立派な「侍」です。
秋の夜長にこの二人の侍の物語を比べて読んでみてはいかがですか?